平成11年10月2日
審 査 委 員 会


○第1部
【物理】
 実験装置に工夫を凝らしている作品が数多く見られるようになってきました。一方,データの取り方をもっと工夫するとすばらしい作品になるものがいくつかあります。全体的に,試行錯誤を繰り返しながらねばり強く取り組むこと,考察をきちんと行うことが望まれます。「水しぶきの科学」では1/30秒ごとの写真分析,「紫外線U」では昨年度のデータとの比較,「水切り名人になるための研究」では鋭い観察が特徴です。これらの作品に共通することは,データが豊富であること,考察をきちんと行っていることです。
 その他,守っていただきたいことを3点挙げておきます。@マニュアル本どおりにやらないことA仮説をたてることBグラフはグラフ用紙にかくこと。
【化学】
 全体的によくがんばっており,作品としてのまとめ方を身につけた生徒が多いと感じました。テーマはマニュアル本などを参考にしていても,方法を自分で工夫しているものがあり,考察などに独自性がよく出ている作品もありました。全体的な傾向としてこじんまりとうまくまとめている作品が多かったように思います。
 市長賞を受賞した中で環境問題を取り扱った2つの作品は,いずれもかなりのデータを集めています。「台原森林公園の大気環境に関する研究」は全国的にも評価できる大変高い水準の力作です。惜しくも入賞できなかった作品の中には,もう少しまとめ方を工夫すると良くなる作品が見られます。深く追求する姿勢を大切にがんばってほしいと思います。また,データはいろいろとってありますが,まとめ切れていない作品もありこれからに期待したいと思います。
【生物】
 長期的な観察・実験を通して,質の高い作品が出品された反面,表面的な深まりのない作品が多いのも今年の特徴です。川に関した調査研究では,環境庁や建設省の基準にのっとって調査しているだけでなく,新たな視点でこれらの調査を見直そうという研究も見られました。ミミズやヒキガエルなどの自分の家にいる生物を使ったものに独創的な研究があり,身近な生物を使うことの重要性を示してくれました。また,植物では遺伝を扱った作品も現れ,長期的な計画に基づいた優れた研究が出品されました。
【地学】
 今年は,気象に関する調査・研究に取り組んだ作品が特に目立ちました。長期間にわたって研究を継続した作品や独自のアイディアで測定し,データを集めた作品などがあり努力のあとがうかがえました。残念なのは,せっかくとったデータが結論に生かされておらず,一般的な内容で締めくくられていたり,ポイントがずれていたりしていて何か物足りないことでした。また,マニュアル本からヒントを得て研究をしていたものもありましたが,自分なりの工夫が出来ずに終わったしまっている作品もありました。自分で思いついたことを先生などにもっと相談して,研究のポイントを指摘していただくと良いと思います。



○第2部
【動物標本】
 動物標本は全体的に高いレベルの作品が多く,小学校から引き続き採集を続けてきた生徒の名前も多く見らたことは喜ばしいことです。出品の個体数が少ないひと箱だけの標本であっても水準に達していれば高く評価しました。一方,標本数が多くても,標本を一カ所で採り過ぎていたり,国立公園,環境保全地域など積極的に保護保全している場所で採集したりしている作品は,評価のランクを落としました。また,昨年の理科作品展以降に採集された標本を評価しましたので,集大成の意味のある場合を除いて,それ以前の標本は評価していません。ここ数年の傾向としてウラギンシジミの報告が複数見られるようになりました。チョウの北上傾向を裏付ける貴重な記録として注目されています。
【植物標本】
 出品数は昨年並となっていますが,全体的な作品の質はやや低くなっています。花や根のついた状態で標本にする,適切な大きさの台紙を使う,ラベルに必要事項を具体的に書いて台紙の右下に貼るなどの基本なルールが守られていないものが多く見られました。特に,採集地の書き方では,誰が見てもわかるような記述とする必要があります。また本来「研究」としてまとめたものを,実物があるというだけで「標本」として出品しているものもいくつかありました。標本の意味をよく考えてほしいと思います。
 優秀な作品にはテーマをしっかりもって数多くの標本を製作しています。さらに,年間を通して植物を採集することで,その植物の姿が一番わかる時期(花や実がついている。葉の大きさが適当であるなど)のものを標本とすることができます。
【岩石・鉱物・化石標本】
 「北海道の白亜紀の化石」をはじめレベルの高い作品が見られました。また,今年は化石だけでなく鉱物にもすばらしい作品がありました。化石では産地に足を何度も運んで採集し,ていねいにクリーニングした上で,ラベルや小箱作り・名前調べなどをしっかり行っており,これから標本づくりに挑戦しようという人のよい手本となるものです。岩石や鉱物では変質していない新鮮なものを大きさや形を整え,化石ではより完全なものをていねいに採集したいものです。自分自身の標本になるものですから,テーマをしぼって,作品をじっくり仕上げていってほしいものです。また産地についても明記して下さい。名前調べについては,図鑑などを使って自分で調べようとすることはたいへんよいことです。ただし,写真に似ているからと安易に名前を決めるのではなく,科学相談などを活用して,より正確なものにする努力を望みます。



○第3部
出品点数は昨年とほぼ同数ですが,作品の質はそろっています。適切な構成や技術(プーリー,軸受の作り,配線のハンダ付け等)に気を配ると,もっと良くなる作品が何点か見受けられました。
市長賞の4点はそれぞれ工作歴を感じさせる仕上がりになっており,作品そのものがしっかりしています。目標をもち,回路を良く理解した上で製作に取りかかっているのが伝わってくる作品に仕上がっています。
 全体的に,試作を繰り返し改良を重ねて仕上げた作品が多くなっていることは,喜ばしいことです。