中学校の部の総評


■第1部      ■第2部      ■第3部


■第1部 (観察や実験の記録)

【物理】
 今年の作品の中で,自分で仮説を立て,それを立証するためにたいへん工夫を凝らした実験道具をつくり,筋道を立てて検証した作品がありました。とても立派なことです。しかし,中には実験はしているものの,そのときの実験条件や測定結果の記録が不足していたレポートがいくつかあったのが残念でした。実験を行うにあたって大切になってくることは,
 1.実験の信頼性を高めるためには,1回の測定だけでなく,何回か繰り返しデータを測定し,他と大きく違ったデータがないかを調べ,そのようなデータを除いて平均した値を用いること。
 2.誰もがそのレポートを基にして条件を整えて実験したとき,同じように再現できること。
 3.表やグラフ,図などを用いて実験結果をわかりやすく示してあること。
 4.実験で得られた結果から結論を導き出し,しっかり自分の言葉で考察としてまとめてあること。
が基本になってきます。
 また,実験目的を最後まで見失わず,方向性をもって取り組んでいってほしいものです。
【化学】
 自分で新しい測定方法や実験方法を考案し,長期間にわたる努力によって,とても興味ある結果を得ている優れた作品があり,心強く感じました。しかし全体的には同じテーマの定型的な作品が目立ち,その中には方法や内容が似ているものも数多くありました。また,原因と結果が実験する前に決まっているような,先入観に縛られたものもあり残念です。客観的な論理の進め方に気を配ってください。同じようなテーマの作品でも,一般的な調べ方の他に,自分なりの材料と方法で実験をすれば,独自性を出すことができます。
 次に,デジタルカメラ等の普及によって,レポートの中に手軽に写真を取り入れることができ,美しい研究レポートが多くなっています。今回の作品にも,写真や実物がレポートの中に取り入れられたものが少なくありません。しかし,その写真や実物が「実験の結果は写真や実物で見てください」というような使われ方の作品が目立ちました。写真や実物から導かれる結論があるはずですから,それを表や文章でわかりやすくまとめることが大切です。
 最後に,タイトルと内容の合っていないものが見受けられました。研究のねらいに合った研究を進め,結論を導くわけですから,研究の内容全体を表す適切なタイトルを工夫してほしいものです。
【生物】
 全体的には時間をかけた研究が少なくなっていますが,昨年から継続して研究している作品の中で,審査講評を生かし実験方法やまとめ方を改善しているものがありました。テーマの決め方としては,本やインターネットに載っていることをそのまま行うのではなく,自分の体験や観察・実験の過程の中で疑問に思ったことを自分なりの方法で解決してほしいと思います。疑問を解き明かす方法としては,資料を調べたりもの作りをすることも大切ですが,それは研究の前段階として,実際に自分で条件などを設定して試してみることが大切です。レポートの書き方では,単に方法や結果を書くのではなく,そこからどんなことが言えるのかを自分の言葉でわかりやすく表現することが強く望まれます。結果のまとめに関しては,数値をもとにしたグラフの作成,ならびにグラフの種類等に工夫がほしい所です。また,グラフの縦軸や横軸が何を表しているのかが良くわからない例もあったことから,単位をきちんと付けるようにして下さい。 データをとる際には,1回だけでは信頼性に欠けることから,できれば複数回行った上で平均値で比較することを心がけて下さい。
【地学】
今年は,時代を反映してか,例年より環境的な視点からの観察・実験が多く見られました。中学生らしく,手順をわきまえて,きちんと研究に取り組んでいることは,すばらしいことだと思います。努力してほしい所として,具体的なデータの取り方やその追究の仕方などが浅くなっていしまい,結果や考察が十分に分析できずに終わってしまっていることです。きちんとした考察は,研究の要です。大切にしてください。そのためにも,観察・実験を始めるときには計画を立てることはもちろんですが,必要によっては途中でも見直しながら,見通しを持って進めていくことが必要です。そして,結果から生まれた疑問を解決するために,さらに実験して検証してみるなど粘り強く追究していく姿勢を忘れないでください。
 来年も良い作品がたくさんでることを期待します。




■第2部 (生物・岩石・鉱物・化石などの標本類)

【動物標本】
 作品18点中,貝の標本が2点,昆虫の標本が16点でした。他の標本にもチャレンジしてほしいと思います。また昆虫の中では,蝶や大型の目につきやすい甲虫類がほとんどでした。「○○地域に生息する昆虫類」などとテーマを絞り,多くの種類を集めていく努力も必要です。中には,小型の昆虫を丁寧に標本作成している作品もあり,好感が持てました。同じ種類が3個体以上採集されている例が散見されました。特別な理由がある場合を除いて,同じ地点で同時に多数を採集しないという配慮が必要です。
ラベルの表記においては,採集地点名の場所が特定できるよう正確に記入して下さい。
【植物標本】
 植物の分類ごとに採集したり,季節ごとの植物の姿を残そうとするなどのアイデアがありながら,標本作りの基本を十分考慮していない作品がありました。科学的な標本として「植物の体全体の特徴を長く保つ」「採集した植物に関する正確な記録を残す」といったねらいを達成できるよう,採集の方法や台紙への固定方法,ラベルを記載事項などに十分気を遣ってほしいと思います。また,地域によっては採集をしてはいけなかったり,希少種のため採集を避けた方がよい植物もあるので,必要であれば宮城県レッドデータブックなどを参考にするとよいでしょう。
希少種に関しては,宮城県のレッドデータブック等を参照して注意を払うと共に,
希少種の生息場所を守っていくようにしたいものです。また,地域によっては,
採集そのものが禁止されているところがあります。場合によっては,市の環境局や
県の自然保護課に事前に問い合わせをして確認するようにしましょう。
【岩石・鉱物・化石標本】 
 標本製作の基本がしっかりできている作品が多く見られました。採集の目的をはっきりさせて採集から整理までを行い,産地や採集した標本から考えられることなどをしっかりまとめている作品もありました。標本が仕上がった段階で終わりにするのではなく,これからはこのようなまとめかたが望まれると思います。名前調べについては,図鑑などを使って自分で調べようとすることはとても良いことですが,科学館などを活用してより正確なものにしていく努力も必要だと思います。



■第3部 (創意・工夫のある科学工作)

 時間をかけて丁寧に作った作品や,予備実験をした上で製作に取り組んだ力作が多く見受けられました。高度な原理をうまく使った作品や,いろいろなキットを上手に組み合わせて自分の工夫を盛り込んだりした作品が見られたのは喜ばしいことです。
インターネットや本などで調べた情報を基にして製作するのはいいことですが,何か自分の工夫を付け加える努力を忘れないようにして欲しいと思います。
 同様に,講習会等での作品にも自分なりの工夫を盛り込んで欲しいと思います。
 第3部の作品として少々そぐわないものが見受けられますので,先生方の指導をお願いしたいと思います。全体として,レベルの高い作品が揃っていた印象を受けました。