中学校の部の総評

◆◇ 第1部 ◇◆

【物理】

 発想が豊かで独創的な作品がいくつかみられました。一方,実験方法の工夫が不足している作品も見られました。試行錯誤を繰り返しながら,実験方法を改良していく努力が必要です。また,グラフはノートにではなくグラフ用紙に描くようにしてください。
 「弾力食品の研究」「光るガムテープ」は,身近なところから疑問を掘り起こした今までにないテーマです。データも豊富で考察がしっかりしています。さらにつっこんだ研究ができる余地がありますので継続した研究を期待しています。「火打ち石の研究」は火打ちの技術を磨くところから始まっています。写真によるデータ解析がすばらしいです。「水滴落下時の音色の温度のよる変化の不思議の研究」は,水滴が落下した時の三つの音について鋭い考察がなされています。

【化学】

 一生懸命取り組んだと思われる力作が多く見られました。また,環境への関心の高まりも見え,環境を扱った題材が増えてきていることも最近の傾向です。
 市長賞を受賞した「接着の研究」は,木材に対する接着剤の強度に注目してよく調べ,まとめています。強度の調べ方に工夫が見られます。「木炭の研究」は実際に木炭を作り,それを多角的に研究したものです。また,炭焼き窯を見学してプロの技術を教わるなどの努力もしています。「白石川の水質調査2 −川の汚染の調査−」は,白石川の多くの地点でたくさんの項目について詳しく測定し,汚染の原因となる支流を特定するなど優れた洞察力を発揮しています。「宮城学院とその周辺の大気汚染調査〜2001年度版〜」は,学校周辺で継続的に測定したじん埃,NOXなどの膨大なデータをもとに,大気の状況を考察しています。
 全体的に配慮して研究してほしい点として,しっかりした計画(見通し)をたてて進めること,実験の結果を出して終わりではなく,それをいろいろな方面から眺めて考察をすることなどがあげられます。他の人が見ても同じ実験ができるくらいに,実験条件を記録することも大切です。

【生物】

 全体的にみて最後のまとめ方や考察をもう少しふくらませたらよい研究になるものが多くみうけられました。せっかく記録した結果を考察に生かしていないものもあったことは残念です。
 野外での観察はていねいになされていますが,その中から問題点や疑問点をみつけ出しそれを明らかにするにはどうすればよいかといったアプローチが不足しているような気がします。一方,飼育観察や実験を行っているものでは,自然の状態での観察が不足しているために,もの足りなさを感じるものがみうけられました。単なる観察から一歩進んで,量的な評価を加えたり,条件を変えて比較し,図表等を用いて研究をまとめるように努力してほしいと思います。
 水質と水生生物の調査では,個々の内容はよく計画されていてよく調べてられてはいますが,両者を関連させたまとめ方や考察にもうひと工夫がほしいところです。

【地学】

 文献やインターネットなどを使用して,詳しく調べた上で実験に取りかかっている作品がありました。段階を踏んできちんと研究に取り組んでいることは,すばらしいことだと思います。また,同じようなテーマでもその人の工夫や考え方により一味違った研究になります。そんな特徴のある研究に取り組むようにするとより面白くなるでしょう。
 ただ,全体的に残念なのは,結果まで出ているのに考察が浅くなってしまい,十分に分析できずに終わってしまっていることです。きちんとした考察は,研究の基本です。大切にしてください。
 そのためにも,実験を始めるときには特にしっかりと計画を立て,見通しを持って進めていくことが必要です。そして,結果から生まれる疑問をさらに深く掘り下げて,さらに実験して検証してみるなど粘り強く追究していく姿勢を忘れないでください。
 来年も期待します。


◆◇ 第2部 ◇◆

【動物標本】

 標本全体のレベルが上がったことを感じました。標本作製の技術や同定の正確さなどに関してとてもよく仕上がっているものがある一方,ていねいさに欠けるものも見受けられました。標本は,将来の研究や調査に役立てるものであることから,ひとつひとつの標本にラベルを付けて,必要内容を記入し,再同定がしやすいように作成することを心がけてください。また,希少な種の採集に関しては県のレッドデータブックを参照するなどして,自然環境の保全に留意しましょう。今回の昆虫と貝の標本だけしか出品されていませんでしたが,他の生物群の標本作製にもぜひチャレンジしてほしいと思います。

【植物標本】

 例年より多くの作品が集まりました。小学校から継続して標本を製作している人も多く,標本の基本的な作り方については慣れていて,きれいな仕上がりを示す作品がありました。その反面,「永く保存する」「分類などのために正確に形を残す」といった標本本来の意味を理解していない作品もありました。科学館で行っている自由研究教室を始め,標本製作を学べる場をできるだけ生かしてほしいと思います。数多く標本を作ることも大切ですが,中学生としては何かテーマを絞って作品製作に当たるといいでしょう。ラベルの書き方で気になったのは,採集地の書き方です。誰が見てもわかるように,具体的な住所や地名,地形を書くよう心がけることが大切です。

【岩石・鉱石・化石標本】

 市長賞になった作品をはじめレベルの高い作品が見られました。優れた標本が多いのですが,標本を作った段階で終わっているものが多いのが残念です。採集の目的をはっきりさせ,採集・整理をし,産地や採集された標本から得られる情報をもとに学習を深めていって下さい。岩石や鉱物では変質していない新鮮なものを大きさや形を整え,化石ではより完全なものをていねいに採集したいものです。自分自身の標本になるものですから,自分でテーマをしぼって,自分の作品をじっくり仕上げていって下さい。名前調べについては,図鑑などを使って自分で調べようとすることはたいへんよいことです。ただし,写真に似ているからと安易に名前を決めるのではなく,科学相談などを活用して,より正確なものにする努力を望みます。


◆◇ 第3部 ◇◆


 科学の歴史文献を参考にし,自分なりの工夫を加え製作している作品が見られます。新しい傾向です。
 一方,時間と労力をかけた大作が少なくなっているように思われます。また,マニュアル本の通りで創意工夫のほとんどみられない作品がいくつかみられることは残念です。
 市長賞の「ホバークラフト」はしっかりとした計画のもとですばらしい作品に仕上がっています。「リレー式自動方向転換自動車クルクル2」は動きがすばやく正確で高い完成度の作品です。
科学工作は試行錯誤をしながら製作する楽しみがあります。あきらめずに努力するとすばらしい作品ができます。来年度も期待しています。