小学校の部の総評

◆◇ 第1部 ◇◆

【物理】

 作品数は,昨年より増え,マニュアル本を参考にした研究であっても自分なりの疑問を持ち,工夫した研究がふえてきていることは,よろこばしい傾向です。身近に体験したことに疑問をもち,予想をたてて,実験・観察をすすめ,それを解きあかしていってほしいものです。2年生の「犬のよこブランコ(やじろべい)のひみつ」の研究は,そうした点ですばらしい作品です。また,6年生の「液体のしみこみ方の研究PARTU」の研究はテーマをしぼりこみ,たいへん詳細に実験をして調べ,しっかりまとめてあります。
 ただ,独創的な研究が少なかったのは,さびしく感じました。身近なことに疑問をもつ柔らかい心と,根気強くそれを追求して調べ考察することを大切にしていってほしいものです。

【化学】

 甲乙つけがたい優秀な作品が多くありました。根気のいる実験や,写真や結果をよく整理している見た目にも美しいレポートが多くありました。マニュアルそのままの研究は少なくなりましたが,インターネットからの情報を使っている研究や,アンケートをとって結果を解析している研究が,新しい傾向として増えてきています。
 市長賞を受賞した,「スライムの不思議」はたくさんの実験を考え,まとめてあります。さらに応用でおもちゃを作っています。「ソルベントクラックの研究」はテーマがユニークで,実験装置を自分で工夫して作っています。「きれいな色にそまるかな?」は,2年生ながら化学繊維もふくめてたくさんの布をきれいに染めています。「おいしい煮豆の原理」はおもしろいテーマで,100粒の豆の皮の破れを数えて結果を比べています。「仙台市内の川の水質調査」は水質を多面的,継続的に調べた深みのある研究です。「草木染」はたくさんの植物を使って,きれいに染めています。整理の仕方も上手で植物標本と組み合わせてわかりやすくまとめてあります。「自作の化学カイロはあたたかかくなるのか」はカイロを温めるたくさんの要因を多面的に追求し,最後にカイロを自作しています。これからもがんばってください。

【生物】

 観察がきちんとなされていても,もう一歩踏み込んだ成長の記録や定量性な把握が不足している研究が多く見られました。図表を用いて得られた結果をわかりやすく表現するとよいでしょう。また,先入観にとらわれた飼育実験がいくつか見られます。たとえばアリを材料とした場合,エサとしてはなぜいつもアメとか砂糖なのでしょうか。自然の中で生きものが生活している場(生物生息場所)を観察し,そこからでてきた疑問点を整理したうえで実験などを考えてほしいと思います。特に高学年の場合には,仮説をたててそれを検証してみるアプローチが必要だと思われます。
 優秀な作品の中には,小学生の視点で疑問をとらえ,独自の発想で実験道具や方法を工夫し研究を行ったものが見うけられました。特に「米」や「野菜」など,身近な生活の中から課題を見つけ,丹念に考察を深めたものに好感が持てました。なお,薬品の使用については十分な注意が必要であり,特に毒物の使用はできる限り避けてほしいと思います。

【地学】

 全体的に作品数は少なかったが,長期にわたって観測した結果や蓄積したデータをまとめた作品が出品され,根気よく研究された努力作品が多かったようです。
 しかし,苦労して結果を出している割に考察やまとめの段階で詰め切れていない作品があり,残念でした。データを分析する場合は,図や説明を利用して,見ている人にわかりやすく工夫するとよい考察に結びつきます。また,写真やグラフなどでさらに具体的に提示できるとまとまりよく構成されるでしょう。やってみてください。
 また,結果から考えてほしいこと,「どうしてだろう」「何が原因かな」などを追究できるとより深まりのある作品になるでしょう。指導者の先生方からの助言や問題の投げかけをお願いしたいと思います。必要によっては,科学館などにきて,相談しても良いでしょう。
 近年,インターネットを使って調べることが多くなりました。手軽で良い方法だと思います。視野が広がる意味で有効に利用してください。ただし,研究は調べるだけでなく,それによって疑問に感じたことを確かめてみることがより大切です。自分から一歩踏み込むことによってすばらしい研究が見えてきます。来年もすばらしい作品が多く出品されることを期待しています。


◆◇ 第2部 ◇◆

【動物標本】

 同じ種類を同じ場所で多数採集することや,希少種の扱いは注意が必要でです。レッドデータブックを参照するようにしたらよいでしょう。標本としての評価の観点からはラベルを正確に付けることや,同定を正しく行うことは大切です。長年の収集作品をひとつのテーマにのっとって整理するなど,非常にレベルの高い作品もありました。

【植物標本】

 標本を作る時には,長期間の保存ができること,そして「記録」として「いつ」「どこで」」「だれが」「何を」採集したのかを見た人がわかるようにすることが重要です。したがって標本の作り方には基本的なルールがありますが,それを知らないままに製作された作品が見られます。採集のしかたやラベルの記述方法などについては,標本の意味を考えて行うことが大切です。また,昨年度に引き続き,「研究」(1部)としてまとめられた作品を,実物の標本がついているという理由で「標本」の部(2部)に出品しているものがありました。標本の作り方がわからないときや出品の部を迷っているときには,ぜひ科学館に相談してください。

【岩石・鉱石・化石標本】

 昨年と同様好天に恵まれ多くの化石・鉱物標本が見られました。標本作製の基本やクリーニングなどについては,多くの作品ができてきています。化石や鉱物標本にはテーマをしっかりしぼって,地道に収集につとめてきたものもありました。産地の様子やどこで採集したかという産地の情報,産地やまとめられた標本に基づいて考えられたことも加えていくと標本とした作製の目的が明確になると思います。昨年度や一昨年度などの標本をあわせてまとめている作品もありますが,初めて出品する場合以外は,比較とする標本程度にとどめることが適切です。また,化石と鉱物がまじった標本や,化石だけであっても時代や種類がまったくばらばらの標本がいくつかありました。標本づくりも一つの研究ですので,ねらいをしぼって採集するようにしましょう。


◆◇ 第3部 ◇◆


 自然をよく観察しその模型を製作した作品やしっかりとした設計図をもとに製作した作品がいくつか見られたことはよい傾向です。
全体的に創意工夫のみられる力作が少なかったようです。日常生活の中で,おもしろい現象を工作として表現するとよいでしょう。また,科学工作に慣れていないと思われる作品が多くみられます。一度失敗してもあきらめずに,よい作品になるまで時間をかけ工夫を重ねることを心掛けるとすばらしい作品に仕上がります。箇所にあった材料選びをすることも必要です。
 「『やじろべえ』とばそ」は着想が新鮮な作品です。製作後大いに楽しく遊んだものと想像されます。「学校の怪談」は非常にリアルで何か出てきそうな雰囲気がとてもよくでています。「食虫植物ハエトリキャッチャー」は針金1本で閉じたり開いたりする動きを巧みに再現させています。「ハンマー投げ ―がんばれ室伏―」はハンマー投げの動きがよく表現されています。